新卒採用市場の変遷
新卒採用市場は、景気の動向や人口減少、企業の採用戦略などの影響を受け、年々変化しています。過去20年以上にわたり、新規就職者数は50万〜63万人程度の範囲で推移してきました。
新卒採用人数の推移
全体的な推移
2000年以降、高卒者と大卒者を合わせた新規就職者数は概ね安定して推移してきました。最も多かったのは2019年の約63.2万人で、好景気の影響を受け採用が拡大しました。一方、2010年はリーマン・ショック後の景気後退を背景に約49.6万人と最低水準を記録しました。
近年の傾向
2023年には高校卒業者13万6509人、大学卒業者44万8073人が就職し、合計で約58.5万人となりました。しかし、少子化の影響で新規就職者数は減少傾向にあり、2038年には50万人を下回ると予測されています。
2025年新卒採用市場の最新動向
求人倍率
2025年卒業予定者対象の大卒求人倍率は1.75倍となり、前年(1.71倍)から上昇しました。特に中小企業(従業員300人未満)の求人倍率が6.50倍と非常に高く、人材確保が難しい状況です。
採用人数の増減
2025年春の新卒採用計画人数は前年計画比で10.6%増加、実績比では81.0%増と大幅な伸びを記録しました。業種別では、製造業が72.3%増、非製造業が96.9%増と、新卒採用への積極的な姿勢が見られます。
企業規模による違い
従業員100人以上の企業では採用人数を増やす傾向が顕著。 ・従業員99人以下の企業では採用数を維持する傾向が強い。
採用環境の課題と対応策
少子化への対応
少子化により学生数が減少する中、企業は多様な雇用形態や柔軟な働き方を取り入れる必要があります。
デジタルスキルとリモートワーク
デジタルスキルを持つ人材やリモートワーク適応者の需要が高まり、オンライン面接やハイブリッド型採用を活用する企業が増えています。
ダイレクトリクルーティングの活用
企業は求職者データベースを活用した直接アプローチや、採用イベントの開催を強化し、より積極的な採用活動を行う必要があります。
まとめ
2025年の新卒採用市場は引き続き売り手市場となる一方、少子化の影響による学生数の減少と、企業間の競争激化という課題も顕在化しています。企業はより柔軟な採用戦略を取り入れ、戦略的な人材確保を進めることが求められます。
コメント