経団連(日本経済団体連合会)が実施した新卒採用に関するアンケート調査の結果から、最新の採用トレンドと企業が直面する課題が明らかになりました。本記事では、その調査結果をもとに、現在の新卒採用市場の状況や企業が注目するポイント、今後の展望について詳しく解説します。
採用市場の現状
企業の採用活動の動向
経団連の最新調査によると、**2019年4月入社対象の採用選考活動を実施した企業の割合は98.0%**と高水準を維持しています。また、81.7%の企業が「前年より売り手市場(学生側が有利)」と回答しており、新卒市場は引き続き学生優位の状況が続いています。
さらに、企業の33.0%が採用計画に「届かない」と回答しており、企業にとっては人材確保の難しさが顕著になっています。
企業が重視するスキル・能力
新卒採用において、企業が特に重視するスキルは以下の通りです。
- コミュニケーション能力(16年連続1位)
- 主体性(10年連続2位)
- チャレンジ精神
論理的思考力やチームワークも重要視されており、新卒者には多様な能力が求められています。
採用活動における課題
企業の採用担当者は、以下のような課題に直面しています。
- 母集団形成の難しさ(24.9%)
- 採用方法・戦略の決定(23.3%)
これらの課題の背景には、採用手法の多様化や採用担当者の負担増加があると考えられます。
企業の学生への配慮
企業は、学生にとってより良い採用環境を整えるため、以下のような工夫をしています。

- 面接日程の柔軟な対応(80.9%)
- 本社以外の地域でも面接を実施(66.0%)
- 土日・祝日・平日夕方の面接実施(64.1%)
新卒採用の最近のトレンドと変化
通年採用の導入
新卒一括採用を実施している企業は依然として91%と主流ですが、近年では通年採用を導入する企業が増加しており、5年後にはその割合が55%に達すると予想されています。これにより、企業は必要なタイミングで人材を確保できるようになり、採用活動の柔軟性が増しています。
採用活動のオンライン化
新型コロナウイルスの影響もあり、採用活動のオンライン化が急速に進んでいます。
- オンライン説明会やリモート面接の普及により、全国各地の学生と接触しやすくなった。
- 地方の学生にとって、移動コストの削減や参加しやすさが向上。
インターンシップの重要性
インターンシップは企業文化や業務内容を理解してもらうための重要な機会となっており、
- 多くの企業がインターンシップを通じて早期に優秀な学生を確保
- インターンシップ参加者をその後の正社員採用に結びつけるケースが増加
ダイレクトリクルーティングとリファラル採用の拡大
最近の採用トレンドとして、
- 企業が直接候補者にアプローチするダイレクトリクルーティング
- 社員紹介を活用したリファラル採用
などが注目されています。これらの手法により、企業はよりターゲットを絞った採用活動を行うことが可能になっています。
今後の傾向
- 履修履歴(成績証明書等)の重視傾向が強まる
- 企業の自社ホームページやSNS活用が増加(55.6%)
SNSを活用した採用活動は今後さらに拡大する見込みであり、企業はブランディング戦略の一環として積極的に活用しています。
まとめ
経団連の調査結果から、新卒採用市場は依然として**「売り手市場」**であり、企業は優秀な人材の確保に苦心していることがわかります。企業は採用戦略の多様化に対応し、より柔軟な採用活動を展開していくことが求められています。
採用担当者は、効果的な採用戦略の立案と実行、そして学生への配慮のバランスを取りながら、今後の変化に適応することが重要です。
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